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お礼奉公の言葉事典

契約書を開いて意味が分からない言葉を引くための事典です。現場で使われている言い方と、契約書・法律に出てくる言葉を分けて並べています。法律の言葉には条文名を付けているので、 e-Gov 法令検索でそのまま本文を読めます。

俗語の言葉

現場で使われている言い方。法律にも契約書にも出てこない。

お礼奉公おれいぼうこう
学費や生活費を貸してもらった代わりに、卒業後に決まった年数だけその病院で働くこと。法律にも契約書にも出てこない言い方で、契約書のほうには「返還の免除」「従事期間」などと書かれている。年数を満たす前に辞めると返還を求められる。
退職代行たいしょくだいこう
辞める意思を本人に代わって勤務先に伝えるサービス。弁護士によるもの、労働組合によるもの、民間業者によるものがあり、扱える範囲が違う。返す金額についての交渉は法律事務にあたるため、弁護士以外は行えない。

契約書の言葉

契約書や規程に書かれている言葉。

修学資金貸与制度しゅうがくしきんたいよせいど
看護学校などに通う間の学費・生活費を貸す制度の、契約書での呼び名。「奨学金」と案内されていても、契約書ではこの名前になっていることが多い。貸主が病院か自治体かで、辞めたときの扱いがまったく違うので、契約書の一番上にある貸主の名義を必ず確かめる。
返還免除へんかんめんじょ
決められた期間その病院や施設で働いたときに、返す義務がなくなること。免除には申請が必要な契約もあるので、年数を満たしたら手続きの有無を確かめる。
按分あんぶん
全体を、割合で分けること。返還の場面では、まだ勤めていない期間の割合だけを返す数え方を指す。5年のうち3年勤めた人が5分の2だけ返す、という形。契約書に按分の定めが無い場合でも、争いになったときに考え方として持ち出されることがある。
期限の利益喪失きげんのりえきそうしつ
分割で返す約束をしていた人が、支払いを何回か滞らせるなど決められた事情にあたったときに、残り全部を一度に払わなければならなくなること。契約書に「退職したときは直ちに全額を返還する」と書かれているのは、この形になっている。
遅延損害金ちえんそんがいきん
決められた日までに払わなかったときに、元本とは別に付く損害金。利率は契約書に書かれている。無利子の奨学金でも、遅延損害金だけは定められていることがある。
連帯保証人れんたいほしょうにん
借りた本人と同じ立場で返す義務を負う人。親がなっていることが多い。ふつうの保証人は「まず本人に請求してほしい」と言えるが(催告の抗弁)、連帯保証人にはこの権利がないので、いきなり請求が届くことがある。なお、保証契約は書面でしなければ効力を生じない。

法律の言葉

法律の条文にある言葉。条文は e-Gov 法令検索で読める。

金銭消費貸借契約きんせんしょうひたいしゃくけいやく
お金を借りて、あとで同じ額を返す約束のこと。いわゆる借用書。裁判所は、修学資金の返還特約が労働基準法16条に触れるかを判断するとき、労働契約とは別にこの契約があるかどうかを見ている。雇用契約書の中に返還の条項が紛れているだけの場合は、貸し借りではなく賃金の前払いや採用の条件と見られやすくなる。
賠償予定の禁止ばいしょうよていのきんし
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」という決まり。約束の年数より早く辞めたら◯円、という取り決めを最初から結んでおくことができない。お礼奉公が争われるときは、まずこの条文が問題になる。
前借金相殺の禁止ぜんしゃっきんそうさいのきんし
「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」という決まり。返還分を毎月の給料から差し引く取り扱いは、この条文が問題になる。
賃金全額払いの原則ちんぎんぜんがくばらいのげんそく
賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を払わなければならないという決まり。給与から何かを差し引くには、法令の定めか、労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要になる。
強制労働の禁止きょうせいろうどうのきんし
「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」という決まり。免許証や卒業証書を預かって返さない、といった取り扱いが問題になりうる。
契約期間の上限けいやくきかんのじょうげん
期間の定めのある労働契約は、原則として3年を超えて結べない(高度の専門的知識等を持つ人と、満60歳以上の人は5年)。免除に必要な年数がこれより長いことは、裁判で「長すぎる」と判断される理由の一つになっている。
1年たてば辞められる決まりいちねんたてばやめられるきまり
期間の定めのある労働契約(1年を超えるもの)を結んだ人は、契約期間の初日から1年を過ぎたあとは、使用者に申し出ればいつでも辞められる。3年契約の2年目でも辞められる、ということ。
解約の申入れかいやくのもうしいれ
期間の定めのない雇用では、当事者はいつでも辞めると申し入れることができ、申入れの日から2週間が過ぎると雇用は終了する。就業規則に「退職は3か月前までに」と書かれていても、法律のほうが上になる。
やむを得ない事由やむをえないじゆう
期間の定めがある契約でも、やむを得ない事由があるときは、ただちに契約を解除できる。病気や家族の介護、労働条件が約束と違うといった事情がこれにあたることがある。
公序良俗違反こうじょりょうぞくいはん
公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は無効になる。労働基準法16条にあたらない場合でも、返す額や年数が著しく重いときは、この条文で争われることがある。

制度の言葉

自治体の修学資金など、制度の仕組みを指す言葉。

当然免除・裁量免除とうぜんめんじょ・さいりょうめんじょ
自治体の修学資金でよく使われる区分。要件を満たせば必ず免除されるものが当然免除、貸与元の判断で一部だけ免除されるものが裁量免除。東京都の看護師等修学資金では、指定施設で5年間従事すれば全額が免除され、貸与期間以上5年未満の従事では一部の免除が検討される扱いになっている。
指定施設していしせつ
自治体の修学資金で、そこに勤めれば免除の対象になると決められている施設のこと。1か所ではなく、条例や要綱で定められた範囲の施設が対象になる。同じ都道府県内であれば、別の指定施設に移っても従事期間を通算できる制度が多い。
従事期間の通算じゅうじきかんのつうさん
免除に必要な勤務期間を、複数の職場での勤務を足して数えること。自治体の修学資金では認められていることが多い一方、病院独自の奨学金ではその病院での勤務だけを数えるのがふつう。ここが2つの制度の大きな違いになる。
看護師等修学資金かんごしとうしゅうがくしきん
都道府県などが、看護師・保健師・助産師・准看護師を目指す人に貸す修学資金の一般的な名前。貸主が自治体なので使用者ではなく、労働基準法16条の問題にはならない。無利子で、延滞したときだけ延滞利子が付く形が多い。
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